🍎これって喘息?(ヒューヒュー・ゼーゼー音)
小児喘息について
小児喘息とは
多くの方が、「喘息(ぜんそく)」という病気を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。喘息とは、空気の通り道である気道(気管支)の慢性的な炎症によって起こる病気です。正式には「気管支喘息」と呼ばれ、このうち、子どもの時期に発症するものが「小児喘息」といいます。
気道の炎症が起こり、痰などの分泌物が増えて粘膜がむくみ、気道が狭くなることで、呼吸が苦しくなる状態(喘息発作)を繰り返します。
また、症状が出ていないときも、気道は常に炎症が続いているため、とても敏感な状態になっています。通常であれば反応しないようなわずかな刺激にも反応し、ダニや風邪、天候、ペットの毛などの刺激から発作が起きてしまいます。
さらに、発作を繰り返し、炎症をそのままにしておくと、気道が狭いまま戻らなくなり、大人になっても呼吸機能が低いままになってしまうことがあります。そのため、炎症を少しでも早く抑える治療を行うことが大切です。症状が見られたら受診するようにしましょう。
喘息の診断
当院では喘息の正確な診断と治療を行うために、慎重な問診をおこなっています。
「うちの子喘息かも?」と受診される方の多くが、喉で痰が絡まっている音だったり、鼻詰まりによる音だったりすることがよくあります。こうした症状の治療方法は、大きく異なるため、しっかりと判断していく必要があります。
子どもは、もともと気道が狭く、分泌物も多いため、喘息の診断はとても難しいです。症状が一度見られただけではすぐに診断はされません。アレルギー体質やアレルギー症状が新たに出ていないかも含め、治療に対する反応など、時間をかけて経過を観察していき、本当に“喘息″なのか判断していきます。
子どもは、自分から苦しいと訴えることが難しいこともあるため、まわりの大人が息苦しさに気づけるよう注意深く観察しましょう。
喘息の主なサインは次のようなことが挙げられます
・息を吐く時にヒューヒュー/ゼーゼーという音が聞こえる。
・息をするときに、ろっ骨や鎖骨のあたりがへこむ。
・いつもより呼吸が速い、荒い。
・唇や顔色が悪くなっている。
・咳がひどくて眠れない、咳で起きてしまう。
・機嫌が悪い、泣き叫ぶ。
・母乳やミルクを飲まなくなる。 など
診察時に前に挙げたようなサインが見られないこともありますので、動画で撮っておくといいでしょう。特に小さなお子さんの症状は、急に悪化する場合があります。息苦しいサインが見られた時は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
喘息の治療について
まず喘息のお子さんの年齢や状態に合わせて、4つのステップに分けて薬を処方します。
治療薬には、
①「炎症を抑え発作を予防する毎日の薬」と、
②「発作が起きてしまったときに気道を広げ、発作を抑える薬」の2種類があります。
①は内服薬や吸引薬があり①は内服薬や吸入薬があり、「長期管理薬」と呼ばれています。続けることで少しずつ炎症が改善されて、発作が起こりにくくなります。効果を実感するまでに少し時間はかかりますが、根気よく続ける必要があります。その治療によりどの程度改善がみられるか、定期的に評価し、治療のステップを上げたり下げたりして、普段の症状や、発作のない良好な状態を保てるようにしていきます。少し良くなったからといって自己判断で薬をやめてしまうと、気道の炎症は続いたままになり、症状が続いてしまうので、最低でも3か月~半年は続ける必要があります。
また、発作が起きた時にのみ使用する②の薬は、気道の炎症を抑える効果はありませんので、また発作が起こる可能性があります。発作が起こってしまい、薬の効果が不十分な時は早めの受診をしましょう。
まとめ
お子さんの喘鳴がでても、すぐに喘息という診断になりません。そのため、日々の様子や症状、エピソード、そして家族歴をできるだけ正確に問診でお伝えください。そういったことが診断に役立ち、症状の悪化を防ぐことができます。
喘息は、気道の炎症が続いている病気であることをしっかり理解し、発作を繰り返さないために、症状がなくても処方された薬を途中でやめてしまうことがないよう、根気よく続けましょう。そして、現在の状態に最適な治療をおこなうために定期的な受診をしましょう。